【2020年11月版】最近のおすすめ少年マンガ5選!

少年マンガ雑誌「サンデー・マガジン・ジャンプ」より2020年11月現在連載中のおすすめ作品を5つ紹介します。

条件1 10巻以下できれば2〜3巻以下のパッと一気読みができる
条件2 大人が読んでもわかりやすく、グッとくる。
条件3 週刊「サンデー・マガジン・ジャンプ」で連載中(2020年11月現在)

条件1に関して
人気マンガはメディアミックス化(アニメ・映画化など)し、その多くが長期連載の道を辿る。もちろんファンにとっては長く楽しめていいのだが、反面「え、そんなに単行本出てんの…」と新規読者のハードルが高くなっている。以下は各雑誌の長期連載・上位3作品の既刊数である。

 

週刊少年サンデー】2020年11月現在/連載作品の既刊数
名探偵コナン98巻 「絶対可憐チルドレン59巻 「BE BLUES!〜青になれ41

週刊少年マガジン】2020年11月現在/連載作品の既刊数
はじめの一歩129巻 「DAYS40巻 「炎炎ノ消防隊26

週刊少年ジャンプ】2020年11月現在/連載作品の既刊数
ONE PIECE97巻 「僕のヒーローアカデミア28巻 「ブラッククローバー26

 

これらの人気作品たちは何度もアニメ化され、駅やコンビニの広告にも載るレベルなので名前は知らなくても見たことあるという人も多いだろう。全て面白い!ゆえの長期連載である。といえ、さすがに普段マンガを読まない人たちに20〜40巻以上あるマンガを読んでくださいというのは酷なのでこちらの作品紹介はまた別の機会に──。今回は巻が出たばかりのものや最長で9巻までの作品をとりあげたい。

条件2に関して
少年マンガは主にバトル」「スポーツ」「ラブコメの3本柱が主軸となっている。そんな少年マンガが、大人になり酸いも甘いも嚙み分けた私たちを十分に満足させることができるのか?というわけで今回は異能バトルものや設定が複雑な作品は避けて、わかりやすく、グッときて、続きが気になる!と大人でも思えるような作品をピックアップした。

条件3に関して
コンビニに置いてある少年マンガ雑誌といえば「ジャンプ」「マガジン」「サンデー」のこの3誌。「少年チャンピオン」を入れて四天王にしようかと思ったが、こちらは「不良・グロ・バキ」の3本柱が特殊なのでまた別の機会に。ちなみにチャンピオンの看板漫画のひとつ「バキシリーズ」は1991年のグラップラー刃牙から2020年連載中のバキ道まで全139巻の大所帯である。外伝やスピンオフマンガを合わせると160巻近くある。そういえば、私のクラスの学級文庫の棚に50ほど置いてあった…。

1:「葬送のフリーレン」─ソウソウ

 

 

【葬送】─ソウソウ……死者の見送り。その最期を看取り墓地や火葬場に送り出すこと。このとき一緒に過ごした日々を思い出し、涙することを俗に「追憶」という。
/葬送曲…英語でいうとレクイエム /葬列…亡骸(なきがら)を運ぶ行列。霊柩車の形がお神輿(みこし)なのは昔はみんなで列を組んで担いでいた名残。

掲載誌 週刊少年サンデー
作者 原作/山田鐘人 作画/アベツカサ 
期間・完結 2020年4月〜連載中/既刊2
前作品 『ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア』
PV(youtube) 【公式】週刊少年サンデーTV
https://www.youtube.com/watch?v=O4-uUKlC0BE

1行あらすじ:
エルフのフリーレンが勇者一行の冒険の日々を辿る後日譚ファンタジー

ここがポイント:
主人公はフリーレン(元勇者パーティの魔法使い・女性・約1000歳?)
⑴種族がエルフ。長寿で老いないので時間の感覚が人族と違う。
⑵すごい魔法使い。趣味である魔法収集の旅を続けている。
⑶「人を知りたい」。かつての仲間の死をきっかけにそう思う。

こんな感じ:
大人になったら嫌でも気づくことがある。10代や20代では気づけない─。30年以上生きてきてふと気づく、「人生っておっさん(おばさん)になってからの方が長いな…どうしよう」と。愛だ恋だ青春だと騒いでいた時代を駆け抜けふと気づけば人生の折り返し地点。夢や目標に向かって挑戦していた本編が終わり、それ以降は後日譚、引き延ばしの長期連載みたいになってしまった退屈な日々を過ごしている。そんなあなたに読んでほしい。

 

 

魔王を倒した後の勇者はどんな生き方をしたのだろうか?一番盛り上がる本編のそのあととは…。長寿のエルフの視点で辿る“その後”の世界。彼女が何を知るのか、彼女は何に気付くのか、彼女に何が残されていたのか、追憶の物語はあなたを深い余韻に浸らせる。フリーレンと一緒にしみじみと感じてほしい

 

 

かけがえのない日々」、というものがあなたにはあるだろうか?私の人生にはあったような無かったような、もう思い出せない色あせた日々を懐かしむこともなくなった。人生を振り返るには早い。もっと年をとってからだと思っていた。ノスタルジー(懐古)に浸るのはかっこ悪いと。

しかし、この作品を読んでこう思う。「かけがえのない日々を送らないまま墓場に直行する、その時私はきっと後悔する」、そう強く思った。フリーレンの、1人では決して選ばなかった「人生」を想うと…あぁ私もそんな仲間が欲しい。しみじみそう思う。とても静かな、でも心に刺さる物語「葬送のフリーレン」─あなたはこの作品を読んで人生をどう振り返るだろうか?

 

 

1話完結
絵がキレイ
ノスタルジー
盛り上がり


とても静かな外伝的物語。

1話ごとの余韻に浸り、彼女達の冒険の日々に思いを馳せる。

2:「龍と苺」─イチゴ

 

 

【苺】─イチゴ……ショートケーキの上に乗ってるあれ。英語だとstrawberry(ストロベリー)福岡ブランドの『あまおう』はあかい、まるい、おおきい、うまいの意味である。 /…将棋の駒において最強の「飛車」が成長し、ますます手がつけられなくなったもの/竜王戦…八つある将棋タイトル戦の一つ。2020年11月現在『豊島将之竜王 対 羽生善治九段』が進行中。

掲載誌 週刊少年サンデー
作者 柳本光晴(やなもとみつはる)
期間・完結 2020年5月〜連載中/既刊2
前作品 響 〜小説家になる方法〜』『女の子が死ぬ話
CM(youtube) 【公式】週刊少年サンデーTV
https://www.youtube.com/watch?v=O4-uUKlC0BE

1行あらすじ:
14歳の中学生・藍田苺(あいだ いちご)は売られたケンカ(将棋)を買う。

ここがポイント:
藍田苺は「はじめまして」とあいさつができる。
藍田苺は「チャーハン」が好きらしい。
藍田苺は「将棋」に全く興味がない。

 

 

こんな感じ:
少年サンデー公式チャンネルには『将棋界に真正面から挑む14歳の“闘う”将棋マンガ』とある。Amazonでは『一手、一手強くなる“闘う”将棋マンガ』と紹介されている。しかし、わたしのこの漫画の楽しみ方はちょっと違う。私にとってこの「龍と苺」は『天才に振り回されるおじさん達の反応を楽しむ』マンガだ。

 

 

 

ぬるい仲良しごっこは気持ち悪い・命を懸けた『勝負』がしたいという苺(イチゴ)。彼女に対するおじさん達の反応には共通するパターンがある。以下がそれだ。
「生意気な態度に面食らう」→「たしなめる」→「理屈で返される」→「このガキ!叩きのめしてやる」→「将棋で心折られる」→「負け惜しみを言う」→「バーン!!」だ。この一連の流れ。前作「響」の頃から変わっていない痛快なギャグ。わかってても笑ってしまう。

 

 

藍田苺に不快感を持つ人が、読者も含めて沢山いるのはよくわかる。心のどこかで侮っていた「子供」に、こんな風に理不尽とも言える「天才性」でやりこめられたら「大人」として面目が立たないだろう。大人な対応でかわしたと思っても本質」を言い当ててくる天才に逃げ道を奪われぐうの音も出ない。こうなったら「実力行使」しかなくなるのだが、その「実力」で心へし折られるのだからたまったもんじゃない!

 

 

私だって現実にこんな奴がいたら絶対近づきたくない。ただ、それ以上に「魅力」がすごいのだ。天才が巻き起こす「痛快無比」の前には「人間性」や「常識」の欠如なんて二の次になってしまう。ただただ「強い」。それだけで人は目が離せない。友人や家族にいたら頭を抱えてしまうが、遠くからで眺めて腹を抱えて笑いたい。ワクワクしてしまう。一体、こいつはどこまでいくのだろう…。私にとって、このマンガは“闘う”将棋マンガではなく、「天才」に振り回されるのを楽しむマンガだ

 

 

将棋マンガ
不愉快
痛快!
折られた心

 

「天才」じゃなくてもこの娘はずっとこんな感じなんだろうなと思わせるマンガの説得力。みなさんも、一緒に振り回されてみませんか?

3:「いとやんごとなき」─ヤンゴト

 

 

【やんごとなき】……最高位の高貴さ。最も尊い身分の方に使われる表現。日本だと“皇族”に対して使用される。漢字で書くと(止む事無し)・英語だとnoble(ノーブル)。 やんごとなき事情/ただ事ではない特別な出来事があってどうしようもなかったの意味。遅刻したときに悲壮感を込めてこれをいえば効果的。

掲載誌 週刊少年サンデー
作者 小松翔太(こまつしょうた)
期間・完結 2020年5月〜連載中/既刊2
第84回新人コミック大賞 入選作品 halation temple
https://shincomi.shogakukan.co.jp/viewer/84/02/301.html
Web(試し読み) 【公式】サンデーうぇぶりで1〜3話と最新話無料
https://www.sunday-webry.com/detail.php?title_id=1102

 

1行あらすじ:
お金持ちが通う超名門校の転入したら、「やんごとなきお方」が現れた。

ここがポイント:
⑴主人公「出海(いずみ)あすか」はアレするアレに困惑している。
⑵高貴な身分の「光暈寺麻呂(こううんじまろ」はアレがアレする
⑶学園の生徒達はアレがアレすることをとても尊ばれている

こんな感じ:
ギャグ漫画、だと思う。決して「格闘漫画」ではない。なのになぜ、こんなにも集中線に勢いがあるのか困惑している。私はお笑いに詳しくないがこのマンガ、笑いの「瞬発力」とでもいうものが凄い。瞬間的に私を爆笑させる。「一発ギャグ」とは違う。笑わせようとしているわけではないし、勢いだけでもない、「緩急」がある。「出オチ」というやつか?いや違う、あれは出てきた瞬間がピークだ。この漫画は流れる空気感だけでずっと面白い。油断したら何もしてないのに笑ってしまう。なんだこれ?アレがアレするだけなのに──。

 

 

漫才」にはボケとツッコミがいる。ツッコミの役割はボケを「フチ取る」ことだと聞く。縁(ふち)を取る、つまりはわかりやすくするとか、目立たせるみたいな意味だと思う。例えば、「思わずバナナを食べてしまった。」と言うボケに対して「なんでやねん!」よりは「ゴリラか!」と突っ込んだ方がボケが際立つ。きれいにフチを取ることが大事なのだ。この作品においてボケの役割が「光暈寺麻呂(こううんじまろ」だとするとツッコミ役は「出海(いずみ)あすか」のはずだ。さぁ、どんなフチドリを見せてくれるのかと思ったが、この女、全くフチ取らない。ただただ、「困惑」している。

 

 

 

アキラ100%」という芸人さんがいる。裸にお盆で局部をひた隠すという芸風で一斉を風靡。久しくテレビで見ていないがPTA(父母会)からお叱りを受けたか、BPO(放送倫理機構)から勧告を受けたか。いずれにせよ私が好きな芸人さんだ。まず出てきた時点で面白い。そこからアクションを起こしても面白い。誰かと絡んでも面白い。画面の端っこにいても面白い。そこには今にも見えるんじゃないかという変な緊張感が働いているからだ。本人が真面目にやればやるほど「ポロリ」を想像してしまって笑ってしまう。

 

 

 

この漫画の魅力はそれによく似ている。アレがアレするというネタだけでずっと面白い。「アキラ100%」さんと違うのは「光暈寺麻呂(こううんじまろ」は一切、隠さない。常に「全開」だということ。その堂々とした振る舞いは「高貴」さを体現している。でも、アレがアレするんだよなぁ……ぷぷ、ダメだ笑ってしまう。とにかくこいつが出てくるだけで瞬間的に面白い。そこにいるだけでじわじわと面白い。ギャグ漫画としての瞬発力」及び「浸透力」がすごいのだ。

 

 

 

1話完結
絵がキレイ
瞬発力
ツッコミ 不在。

 

「ネタバレ」?を防ぐためアレだとかアレするとか表現をぼかした。画像もアレするのを映さないように工夫した。ぜひ漫画を読んで「アレ」が「アレする」場面を確認してほしい。クセにになるギャグ漫画だ。

4:「それでも歩は寄せてくる」─アユム

 

【歩】……将棋の駒の一つ。「ふ」と読む。コツコツと前に1駒ずつ進む。
駒を飛び越えたり、斜め後ろに下がったりと特殊な能力はないが、相手陣地まで進めば成長してと金(ときん)になる出世頭であるただしあえて、と金にならないことで
後々有効な攻めができることがある。絶対有利な「成り」を選ばず「そのまま」でいることが勝利に繋がることがあるという教訓めいた基本の駒。
寄せる/相手を詰ませる(王手をかける)ための一手を差し始めること。将棋の格言に「寄せは俗手で」というものがある。寄せの段階までいったら定石通りに(確実な正攻法で)いけ、ひねったことはしなくても勝てるという意味。恋愛面も同じ、「寄せ」まで関係性を深めていけたらあとは「結婚してください」とシンプルにプロポーズするのがいい。女性の気持ちを確認せず、男だけ盛り上がって「フラッシュモブ」なんか仕掛けた日には子々孫々まで語り継がれる黒歴史の誕生だ。気をつけろ。

掲載誌 週刊少年マガジン
作者 山本崇一朗(やまもと そういちろう)
期間・完結 作者のTwitterに投稿されていた不定期連載の短編が原型になっている。週刊少年マガジンにて2019年3月〜連載中/既刊5
【公式】マガポケの週刊連載で5話まで無料 https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156646485056
受賞歴 20020年次に来るマンガ大賞3
作者前作 「からかい上手の高木さん」既刊14巻(連載中)
「ふだつきのキョーコちゃん」全7巻(完結)

1行あらすじ:
高校の将棋部の田中歩(あゆむ)は先輩の八乙女うるし(やおとめ)に将棋で勝てたら告白する!

ここがポイント:
⑴「田中歩(あゆむ)」はポーカーフェイス。中学時代は剣道で有名。
二つ名は風林火山の山”不動の田中”
⑵「八乙女うるし(やおとめ)」は表情豊か田中を照れさせようとするが毎回自滅。
赤面すること火の如し。

⑶「学校の将棋部」は1年後に2人増え正式な部に昇格する。
今はまだ、歩とうるしの2人きりの部活である

こんな感じ:
あすなろ抱き」をご存知だろうか?1993年のドラマ「あすなろ白書」にて、キムタクが石田ひかりを背後から抱きしめ「俺じゃダメか?」と囁いたあれである。少女マンガを読むとこのあすなろ抱きの有効性がよくわかる。定番ではあるが破壊力抜群のこの必殺技に全国の、いや世界中の乙女達がキュンキュンしたことは想像に難くない。男の私から見てもカッコいいし憧れるシュチュエーションではあるが反面、自分には無理だなと思う。
今ではネタとして扱われることがほとんどの「僕は死にましぇん」は1991年のドラマ「101回目のプロポーズ」のセリフである。冴えない風貌の武田鉄矢の真っ直ぐな、いや直球すぎて女性がドン引きするレベルの告白が、なぜか私には深く刺さる。「あすなろ抱き」のスマートさよりも「死にましぇん」の熱量むき出しの不器用さが私のツボなのだ。

 

 

この漫画の主人公「田中歩」はキムタクではなく、グイグイくる武田鉄矢タイプ。1話あたり8ページ完結なのでさらっと読めるの。歩の直球すぎる「八乙女うるし」への好意の言葉に毎回「おぉ」と感嘆の声を上げている。
こいつオレが学生時代に一度は言いたかったセリフを全部言ってやがる』と。
もう1人の主人公「八乙女うるし」は将棋は強いが、歩(あゆむ)の放つ好意の直球ストレートを打ち返せず毎回プルプル震えている。先輩はかわいいですね、の不意打ちに「んあっ!」と照れ、何とか歩を照れさせようと仕掛けるが返り討ちにあい「んあっ!?」と照れ倒している。

 

 

 

 

将棋において「寄せる」とは相手を詰ませる(王手をかける)ための手順であり、これを食らい相手に逃げ道が無くなれば最後には「負けました」というしかなくなる。不器用な歩が相手に王手をかける、つまり「うるしに告白する」という目標のために将棋で勝つことを己に課しているのだが、実力不足でまだまだ道は遠い。それでも毎回勝負を仕掛け、グイグイくるその言動にうるしのほうが先に陥落しそうである。いや、もう落ちているのか?

 

 

何にせよ、キムタクのようにスタイリッシュでスマートなタイプではない田中歩には、背後から抱きしめ「先輩、俺じゃダメですか?」などと言って欲しくない。正面から相手と向かい合い「負けません、あなたが好きだから!」とあのポーカーフェイスで熱く叫んでほしい。この漫画を読みながらそんな妄想をしている。

 

 

将棋マンガ
1話完結
先輩、かわいいですね。
んあっ!?

 

1巻はほぼ部室でのやりとりだが、2・3巻からは体育祭だったり、お化け屋敷だったりと外でのエピソードが増える。みなさんもぜひ八乙女うるしの「んあっ!?」を堪能してほしい。歩、ほんとグイグイ来るから。

5:「チェンソーマン」─チェンソー

 

 

【チェンソー】……13日の金曜日にジェイソンが持ってるあれ。日本語だと鎖鋸(くさりのこ)日本の漫画作品においてぶっ飛んだキャラが使用する得物(武器)として度々登場する。
血まみれスケバン・チェーンソー』─鋸村 ギーコ(のこむら)/『ブラックラグーン』─掃除屋ソーヤー/『ゾンビパウダー』─芥火ガンマ(あくたび)/『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ 』─チェンソー男 

掲載誌 週刊少年ジャンプ
作者 藤本タツキ(ふじもとたつき)
期間・完結 2018年12月〜連載中/既刊9
【公式】少年ジャンプPV https://www.youtube.com/watch?v=L7WP8ikK1Dg
前作品 ファイアパンチ全8巻
受賞歴 2019年次に来るマンガ大賞「2位」
このマンガがすごい!2020 オトコ編「4位」

 

1行あらすじ:
ゴミクズのように殺された少年デンジ。復活したその姿は人か悪魔かチェンソーマン!

ここがポイント:
主人公のデンジは不幸な少年だった(借金を背負わされる・ヤクザに搾取される・ろくに食えない底辺の生活・唯一の友達は悪魔のポチタ・悪魔に唆されたヤクザにポチタと共に惨殺される)
デンジは一度殺されたが、悪魔のポチタと契約・復活。頭からチェンソーが生えている。
アキはデビルハンターの先輩。デンジとパワーの監視役。後頭部からちょんまげが生えている。
パワーは血の魔人。唯一の友達はネコ。野菜嫌いの虚言癖。鬼みたいなツノが生えている。

こんな感じ:

巷では「最高にイカれたダークヒーロー爆誕!」や、「デンジの考えのなさ・欲望に忠実なところが強さの源」と言われている。けどそれはデンジの本質の表面に過ぎないと私は考える。基本的に主人公デンジは「善良な少年」だ。その生い立ちに貧困・無学・搾取(さくしゅ)がまとわりつき選べる人生がほぼないと言う点において「不幸な少年」でもある。

 

 

底辺の生活の中で「普通の生活」を夢見ることさえ許されず理不尽に殺されたデンジ。死にゆく意識の中で悪魔の「ポチタ」と契約した瞬間。あれが引き金だったと思う。「夢を見させてくれ」という唯一の友達の願いを受け、復活したデンジ。再び命を「奪われ」ようとした時、今までなら仕方ないと諦めていたその心に文字通りスイッチが入ったのだ。「奪われること」への拒絶と怒り。「狂気」のスターターグリップを引き上げ爆発音と共に生まれた悲しいヒーロー。それがわたしの「チェンソーマン」の印象だ。

 

 

 

チェンソーの本質はその凶暴性にある。猛獣の唸り声に似たその起動音は「憤怒」を表明するかのよう。切り裂くのではなく「グチャグチャ」にして「バラバラ」にするその能力は「狂気」の象徴にもみえる。搾取され続けてきたデンジの第二の人生を切り開くのにこれほどお似合いの得物(武器)もないだろう。デンジはその生い立ちゆえに学がない。しかし考えが浅い、と言うわけではない。自身の欲望を叫び、バカになることで、悪魔という「恐怖」を上回る「狂気」を呼び起こしているように私には見える。

 

 

 

ポチタとの「契約」を守るためデビルハンターになり、夢見ていた普通の生活を送るデンジ。監視役として先輩の「アキ」と組んで仕事をするが相性はすこぶる悪い。血の魔人「パワー」と組んだ時も最初の印象は最悪のようだ。

 

 

 

巻が進むにつれ変化していくこの2人との「関係性」もこの漫画の魅力の一つだが、何より物語の展開が今までの少年マンガに類を見ないほど速い。この先どうなるのか全く予想がつかない。ワクワクするんだけど、物語の余韻に浸る間もなく、え、なんで?という驚く展開が連続し、私の「感情」が追いつかなくなっている

 

そのイカれた戦い方や「グロテスク」なバトルシーンが話題になることが多い「チェンソーマン」だが、キャラクター達の言動の端々から彼らの生き方や「生い立ち」が垣間見れる。主人公以外に特に回想シーンやモノローグがないので読み飛ばしてしまいがちだが、サブキャラクター達もそれぞれの人生を歩んできた確かな「人間味」を感じ取れる。3巻までの私の推しは飲み会でデンジを介抱していた「荒井さん」だ。ベロキスを巡りデンジと張り合ってた時は笑っていたけど、彼がポツリと語るお母さんとのエピソードがなぜか泣けた。だから、そのあとの展開に私の感情はフリーズしてしまった。『おいおい、嘘だろ?』──このマンガで推しキャラなんて作るものじゃない。

 

主人公デンジは悪魔と戦うために「狂気」にその身を投じる一方、無関係の人間に逃げろという意味の暴言を吐いたり、人の乗っている車を悪魔に投げつけたりと、いいやつなのか悪いやつなのか判断に迷うところである。デンジは基本的に自分を正義の味方だとは思っていないので、人命や道徳観を優先させたりはしないようだが、その言動にはやはり生来の「善良さ」が垣間見える。女性との付き合いでは、欲望」に忠実であれ、我慢するな!という思いと好きな人」に操(みさお)を立てるというピュアな一面も見せる。

 

 

ダークヒーロー、またはアンチヒーロー。デンジは少年漫画に似つかわしくない「正しくない主人公」だが、その行動はやはり誰かを思いやる「優しさ」に根ざしている。悲しいのは、現実世界も同様に「優しさ」をみせればたちまちに食い物にされてしまうということ。悪い奴らにつけ込まれてしまう。借金を背負わされ、学校にも行けず、お腹を空かせ、人生を搾取され続けていく。だから、「優しさ」は隠さないといけない。バカみたいな言い訳でごまかしていく。そういう世界に私たちも生きているということが悲しい。

 

 

そういった、一切合切をぶうんという吹かしたエンジン音と共に「グチャグチャ」に解体してくれる「爽快感」がこのマンガにはある。と人にオススメしたいのだが、何より私はデンジに感情移入してしまって、今とても辛い。2020年11月に最新刊9巻が発売されたのだが、読み終わった後に感情がフリーフォール(自由落下)されてゲボ吐きそうになっている。オススメしたいのは山々だが、くれぐれも注意してほしい。このマンガで推しキャラを作るな。

 

1話完結
絵がキレイ
展開の速さ
展開の理不尽さ

 

主人公デンジの「女性」とのやりとりが若き日の自分と被って笑ってしまう。「年上の女性達」に振り回されるデンジの姿もこの漫画の魅力の一つだ。デンジには幸せになってほしいと切に願う。

 

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